とばたぎおんまつり
戸畑祇園祭り
- 福岡県
- 7月
戸畑祇園は、享和3年(1803年)に悪疫退散の祈願のために始まり、200年以上にわたり伝統を引き継いできた戸畑地区の誇る祭礼、文化行事である。現在は、7月の第4土曜日を挟む前後3日間の日程で開催される。昼は緋羅紗に金糸銀糸の刺繡を施した祭礼幕や和紙で作られた大菊花で飾る幟山笠、夜は提灯山笠へと姿を変える。この大山笠行事は、昭和55年に国指定重要無形民俗文化財、平成28年にはユネスコ無形文化遺産に指定されている。
鳥旗町子供山笠は、明治20年代には始められていたと伝わっており、将来の大山笠を担う多くの人材を育ててきた。曳山ではあるが形態は大山笠と同様の幟山笠で、平成13年からは夜の提灯山笠も運行するようになった。
具体的な行事の日程は次のとおりである。
初日、朝から幟山の飾り付けを行う。山笠の上に高欄を据え、竹と奉書紙で作成した手まり子を並べる。さらに12本の紅白の大幟を立て、4つの前花(奉書紙で作成された菊花)、羅紗地に刺繍を施した切幕・水引幕、円形の見送り幕で飾る。鳥旗町子供山笠の切幕は龍、鷹、義経の八艘跳び、水引幕は満月に矢羽根・鼓、見送りは恵比須様である。
この飾り付けを行った幟山笠で安全祈願の神事を行った後、洞海湾でお汐井汲み、南北鳥旗町内の巡行を行う。
同日夜には、幟山笠の飾りをすべて取り払い、提灯山笠に姿を変える。提灯には昔ながらのロウソクを灯し、8段又は6段の提灯山笠として南北鳥旗町内を巡行する。
2日目は、午前中に町内を出て、幟山笠で飛幡八幡宮に上る。これを大上りと称する。大山笠とともに子供山笠も神事に参列し神移しを行い、大山笠に続いて子供山笠も御神幸に連なる。大下りである。
3日目の午前中は、西戸畑地区3台の子供山笠が合同で、西戸畑地区全体を巡行する。この際、鳥旗町子供山笠は幟山笠であるが、高欄から手まり子を外し、柴の小枝に紅白の切り紙を飾り並べた柴山として運行する。さらに、同日の午後、柴山笠で再度南北鳥旗町内を巡行し、祭典を終了する。最終日に柴山笠を運行するのは、鳥旗町子供山笠の伝統である。
その後、山笠を解体し、器材一式を収納小屋に格納する。
このような祭典本番に向け、例年5月頃から、器材の整備、前花・手まり子など飾り物の製作、囃子方の子供達による太鼓、鉦、合わせ鉦、笛の祇園囃子の練習などに取り組む。
かつては子供山笠でも山笠で囃子を奏するのは男児に限られていたが、時代の変化の中で、今日では女児も数多く囃子方として参加している。
このように、子供達、父兄、世話人など地域が一体となり伝統行事の準備段階から行うことで、伝統文化の維持を図っている。また、この一連の活動は、地域住民の絆の形成、強化に大きく寄与している。
戸畑祇園囃子は、西、東、中原、天籟寺のそれぞれの地区ごとにリズムが異なる。子供山笠もその地区の大山笠と同じリズムの囃子を奏す。囃子の曲目には、主におおたろう囃子、大上り、居神楽、獅子舞の4つがあり、子供山笠はおおたろう囃子だけを囃す山笠が多い中、鳥旗町子供山笠では運行の始めや終了時に笛を使う居神楽も奏する。
戸畑祇園では、大山笠と中学生の担ぐ小若山笠は、昼は幟山笠、夜は提灯山笠であるが、子供山笠の昼山は、幟山笠に加え人形山笠も多い。また幟山笠では、切幕・水引幕、見送りの絵柄が違い、また手まり子の色も地区により異なる。
中日の大下りの際には、これらの様々な山笠が大山笠、小若山笠、子供山笠の順に囃子を奏しながら次々と飛幡八幡宮の参道を降りてくる。
また、鳥旗町子供山笠は、初日の夜に提灯山笠に姿替えをして運行する。子供山笠で提灯山をもつ山笠は少なく、それが鳥旗町子供山笠の大きな特徴となっている。